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隙間 × アートプロジェクト「SUKIMART」EXHIBITION#0を開催しました

2020年8月。私たちはこれまでに経験したことのない夏を迎えていました。外国人観光客の減少や外出自粛などにより、街、お店、人の心、さまざまな場所に隙間(スキマ)が生まれてしまっているのです。

その隙間を埋めようとスタートしたのが、新進気鋭のアーティストによる企画展示プロジェクト「SUKIMART(スキマート)」。2020年8月1日~8月10に開催された「#0 EXHIBITION at 器」では、京都の木造家屋のホステル「器 utsuwa design hostel」を会場とし、リアルなアート展示を実施しました。

今回は、SUKIMART開催に込められた想いを、3人のプロジェクトメンバー(和田、坪井、大道寺)が語ってくれました。

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ホステル、街、人と人。アートで世の中の「隙間」を埋めていく

和田:このイベントを企画したきっかけは、京都から人が消えたことでした。観光客が減り、京都がいままでに見たことのないような状態になっているというお話を聞いて。「何とかして京都の”にぎやかし”ができないか」。そう思ったのが、SUKIMARTの始まりです。

坪井:でも当初は「器でなにかをやる」ってことしか決まっていなくて(笑)。

和田:しかも、企画の立ち上げ当初は外出自粛の要請も重なり、現地に足を運ぶこともできなかったんです。いつもだったら自分の目で見てメンバーと顔を合わせて企画をブラッシュアップしていくのに、それすらもできない。自分の中にもどんどん閉塞感が募っていきました。

そんなときに器の写真を見ていたら、ホステルのブースひとつひとつが「隙間」みたいに見えてきたんですよね。

よく考えると、そこにあるのは物理的な隙間だけじゃない。人がいないせいで生まれた、予約と予約の隙間。人と人との隙間。心の中の隙間……。増えてしまった隙間をアートで豊かにしたい。そんな思いからついた名が「隙間」と「アート」を掛け合わせたSUKIMARTでした。

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埋めることのできた隙間は、想像以上に多様だった

坪井:はじめは、ホステルという”リアルの場”にアートを展示して足を運んでもらうことで、「空きっぱなしの予定」とか「気になるあの子との距離」とか、そういうものを埋めてもらえたらいいな、と思っていました。

大道寺:でも現地に足を運んでみたら、そこで埋められている隙間は僕たちが想像していた以上に多様だったんですよね。

たとえば、伝統のある京都とストリートカルチャーの間には、大きな隙間があるように感じられるじゃないですか?でも、実際に展示してみると「京都×ストリートカルチャー」ならではの魅力があった。和テイストのホステルの壁一面にポップな絵画やキャップが飾られている光景は、良い意味でギャップがありましたね。

アーティスト自身も「京都という場所だからこそチャレンジしたい」と意気込んでくれていて、隙間を”埋める”だけじゃなく、さらなる魅力を”生み出す”ところまでを実現できていたように思います。

来てくれているお客さんの客層も幅広かったですね。大きめのTシャツを着てスニーカーを履いたいわゆるストリート系の若者、スーツを着たサラリーマン、地元のおじいちゃんおばあちゃん。「面白いわね」「この作品見たことある気がする」と、お客さん同士が感想を伝え合う場面もありました。

「器を見に来る機会がなかったけど、近所だしせっかくだから…」と訪れてきてくれた人もいて、ホステルと地域の間につながりができる瞬間も目の当たりにしました。気づけば、本当に多様な隙間を埋めるアート、文字通り「SUKIMART」になっていましたね。

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大切にしたのは、今の「リアル」に寄り添うこと

和田:これまで僕たちが何かを作るときは、世の中の半歩先を目指すアプローチが多かったんです。分かりやすく派手な話題づくりというか(笑)。でも今回は、とにかく「今」に寄り添った。展示を派手にするよりも、今の人たちの状況や不安な気持ちに寄り添う方がフィットする感じがありました。

坪井:そういう理由で、デジタルが主流の時代に、あえて「展示を見に行く」というアナログな方法をとりました。外出そのものが貴重な機会になっている今、せっかく出かけるなら、大切な人と何かひとつのものを見てほしい。五感を研ぎ澄まして筆遣いやインクのにおいを感じてほしい。自粛によって内にこもってしまった感性を解放してもらうことが、今に寄り添うことだと思ったんです。

大道寺:僕個人としてはデジタルとアナログの二段階で楽しめるところも今っぽい面白さだと感じていて。たとえば今回、器で展示したアーティストのアパレルをオンライン上で販売する仕組みを作りました。

当日足を運んで気に入った作品があれば、そのアートをオンラインで購入できるんです。もちろん当日来られなかった人が購入することもできるし、オンライン上で見てステキだなと思ってくれた人が後から展示を見に来ることもできます。

坪井:今まではアートをオンラインで見ることは、代替手段でしかなかったように思います。本物を見に行けない人が、なんとかしてそれを見るためにオンラインを使う。画面を通して見られたけれど、それは「本物」にはなりえない。そんなイメージですね。

でも現代の若者にとっては、デジタルも「本物」だし、アナログも「本物」なんですよね。50:50じゃなくて、100:100として存在しています。だからこそ、それぞれに面白さがあり、二段階で楽しめる。

これからはどちらかに偏るのではなく、デジタルとアナログ、オンラインとオフラインを行き来して楽しむ世界になっていくはずです。世の中の半歩先を目指すこれまでのアプローチに加えて、リアルに寄り添った場づくりも進めていきたいですね。

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隙間は全部フィールド。「未来の隙間」をアソビシステムが盛り上げたい

坪井:個人的には、今後は観光地の隙間を埋めたいと思っています。今回の京都も然り、観光地のシーズンには必ずオンとオフがあるんですよね。当然オフシーズンには観光客は減るわけですが、そこに暮らしている人、商売をしている人はいつもそこで生きている。繁忙期と繁忙期の隙間をSUKIMARTが埋められれば、地域やそこに住む人たちが、よりにぎやかに、豊かになるんじゃないかと思うんです。

和田:観光地に限らず、考えてみれば世の中には隙間がいっぱいある。若者が減ってしまった地方とか、都会の空き店舗とか、閑散期のテーマパークとか。そう思うと、隙間は全部僕らにとっての「フィールド」ですね。

坪井:今回SUKIMARTを初めて開催して、率直に「とても可能性を感じるプロジェクトになったな」と思っています。

今回の開催は「#0」で、まだ1にもなっていません。それは逆に言えば、ここを起点に「未来の隙間」を埋める大きなことをできるということですよね。1度きりで終わるのではなく、#1、#2、#3……とやっていく。人の心に残るものを作り続けることで、長く「大事にしてもらえる」企画にしていきたいですね。

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■隙間×アート “SUKIMART” EXHIBITION #0
開催期間:2020年8月1日(土) ~ 8月10日(月祝)
営業時間:9:00〜20:00
開催場所:器 utsuwa design hostel(京都府京都市東山区本町8-86)
参加アーティスト:Nah / NAKAKI PANTZ / 乃の木そよ / LEEGET / RYUSUKE MUTO / WOOD / グッドウォーキン上田 / ChiMy(順不同)

編集協力:TELLING

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